出典:国土地理院
総本宮・総本社
月讀神社(長崎県 壱岐市)
概要
祭神である月読命は、天照大御神の弟神(または妹神)、素戔嗚尊の兄神(姉神)とされる神である。伊勢にある内宮の別宮に月讀宮があるくらいに上位の扱いを受けているにも関わらず、記紀における扱いが非常に薄い。文字通りに月を神格化した神と解釈するのが自然だと思われるが、記紀の記述に一貫性が無いため確証には至らない。ただ、近世に至るまで太陰暦が用いられ、月の満ち欠けは人々の生活は密接に関わり合っていたことから、規則正しく満ちては欠けてゆく月を神格化して仰ぎ畏み奉るのは、とても自然なことである。
月読神社は他の名だたる神社と比べるとその数は少ないし、分布地域もバラバラある。その理由を考えると、控えめな月の神のイメージが浮んでくる。天照大御神や些かヤンチャな素戔嗚尊の影響で影が薄い月の神。その事績に関する記述は他の二神に比べて極めて少なく、謎の多い神格として知られている。壱岐の豪族である壱岐氏が古くから月読みの術、すなわち暦を扱う技術に長けていたことから、本来は海上交通や農耕に不可欠な暦を司る神として信仰されていた。顕宗天皇の時代、阿閉臣事代が朝鮮半島の任那へ遣わされた際、月神から託宣を受けたことをきっかけに、壱岐から京都の葛野へ分霊が勧請されたという由緒が日本書紀に記されている。
また、月読尊は月の満ち欠けが潮の干満や生命のバイオリズムを司ることから、海上安全、安産、さらには眼病平癒の神としても崇敬を集めてきた。さらに、江戸時代には月待講が流行っているのだから、決して月信仰の存在が薄れていたわけでは無いのに、いまいち溶け込めなかった月の神。令和時代の今、新たに神格を付け加えるとすれば「隠キャの神」となるのかもしれない。
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