出典:国土地理院


明王(その他)

愛染明王

あいぜんみょうおう

愛染明王(あいぜんみょうおう)は、仏教の明王の一尊であり、煩悩や愛欲といった人間のもつ情念を、悟りへと導く力に変える仏である。密教の教えである「煩悩即菩提(ぼんのうそくぼだい)」、すなわち煩悩がそのまま悟りであるという真理を体現する存在として、特に重要な位置を占める。全身を燃えるような赤色に染め、忿怒(ふんぬ)の表情で現れるその姿は、一見恐ろしげであるが、これは衆生の愛欲を強力な力で引きつけ、仏道へと引き込むための強い決意と慈悲の表れである。起源は古代インドの愛の神であるラーガに由来するとされ、日本では平安時代に空海(くうかい)によって密教が伝えられて以降、篤く信仰されてきた。

愛染明王の像容は、一面三眼六臂(いちめんさんがんろっぴ)、すなわち顔が一つで三つの眼を持ち、六本の腕を持つ姿が一般的である。三つの眼は、あらゆる世界を慈悲のまなざしで見つめる智慧を象徴し、六本の腕は六道すべてを救済する広大な力を表している。それぞれの腕には、五鈷杵(ごこしょ)、弓、矢、金剛鈴(こんごうれい)といった密教法具を持ち、これらの力をもって衆生の愛欲を清らかな悟りへと転化させる。また、宝瓶(ほうびょう)の上に咲く蓮華(れんげ)の上に結跏趺坐(けっかふざ)して座り、頭上には獅子の冠を戴く姿も特徴的である。この獅子は、どのような苦難にも挫折しない、揺るぎない菩提心(ぼだいしん)を象徴する。

愛染明王のご利益は、男女の縁結びや恋愛成就、夫婦円満に特に強いとされ、さらに人間関係全般の良縁を結び、社会や仕事との縁も吉祥に結ばれると信じられている。また、真言(しんごん)を唱えることで、愛欲の感情を清らかな菩提心へと転じさせ、災厄を遠ざける功徳も得られるとされる。


梵名


rāgarāja

真言(小咒)

オン・マカラギャ・バゾロウシュニシャ・バザラサトバ・ジャク・ウン・バン・コク

像容

  • 一面六臂
  • 獅子の冠
  • 開眼
  • 忿怒相
  • 右手:蓮華・弓・五鈷杵
  • 左手:五鈷鈴・弓・何も持たず
  • 結跏趺坐

注記

愛染明王十二大願

  • 智慧の弓と方便の矢を以って、衆生に愛と尊敬の心を与えて、幸運を授ける。
  • 悪しき心を加持して善因へと転換し、衆生に善果を得せしめる。
  • 貪り・怒り・愚かさの三毒の煩悩を打ち砕いて、心を浄化し、浄信(菩提心)を起こさしめる。
  • 衆生の諸々の邪まな心や、驕慢の心を離れさせて、「正見」へと向かわせる。
  • 他人との争いごとの悪縁を断じて、安穏に暮らせるようにする。
  • 諸々の病苦や、天災の苦難を取り除いて、信心する人の天寿を全うさせる。
  • 貧困や飢餓の苦悩を取り除いて、無量の福徳を与える。
  • 悪魔や鬼神・邪神による苦しみや、厄(やく)を払って、安楽に暮らせるようにする。
  • 子孫の繁栄と、家運の上昇、信心する人の一家を守って、幸福の縁をもたらす。
  • 前世の悪業(カルマ)の報いを浄化するだけでなく、信心する人を死後に極楽へ往生させる。
  • 女性に善き愛を与えて良い縁を結び、結婚後は善根となる子供を授ける。
  • 女性の出産の苦しみを和らげ、その子のために信心すれば、子供には福徳と愛嬌を授ける。

本尊とする主な寺院

主要な寺院の中には無いようです。


主な宗派

天台宗

真言宗

浄土宗

浄土真宗

日蓮宗

時宗

臨済宗

曹洞宗

法相宗

律宗

華厳宗




仏の一覧

十三仏

釈迦如来

文殊菩薩

普賢菩薩

地蔵菩薩

弥勒菩薩

薬師如来

観音菩薩

勢至菩薩

阿弥陀如来

阿閦如来

大日如来

虚空蔵菩薩



六観音

如意輪観音

十一面観音

馬頭観音

千手観音

聖観音

不空羂索観音

准胝観音



六地蔵

地持地蔵

陀羅尼地蔵

宝性地蔵

鶏亀地蔵

法性地蔵

法印地蔵



青面金剛

荼枳尼天

歓喜天

摩利支天

閻魔



実在した人物

役行者

秋葉三尺坊権現



その他

愛染明王




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