出典:国土地理院

菩薩 (六観音)

馬頭観音

ばとうかんのん

馬頭観音ばとうかんのんは、仏教における観音菩薩かんのんぼさつの変化身の一つであり、頭上に馬の頭を戴き、忿怒ふんぬの形相を示す点で、他の観音像とは一線を画す。その異形の姿は、人々の煩悩や悪を力ずくで打ち砕き、救済へと導く、強力な慈悲の現れであるとされる。馬が草を食むように煩悩をむさぼり、水を飲み干すように災厄を根絶するともいわれ、その力強い功徳が信仰を集めてきた。六観音ろくかんのんの一つとして、六道りくどうのうち畜生道ちくしょうどうに堕ちた衆生を救済する役割を担うとされる。

日本における馬頭観音信仰は、密教が伝わった奈良時代から始まるとされるが、特に庶民の間で盛んになったのは江戸時代に入ってからである。当時、農耕や交通に不可欠な労働力であった馬の安全や供養を願う人々によって、馬頭観音は馬の守り神として信仰されるようになった。街道沿いや村の境、寺社の境内などには、馬の供養や交通安全を祈願して建てられた「馬頭観音石塔」が数多く残り、当時の人々の暮らしに根ざした信仰の様子を今に伝えている。これらの石塔は、馬の姿が彫られていたり、単に「馬頭観世音」の名が刻まれていたり、地域によって様々な特徴が見られる。

仏像としての馬頭観音は、三面八臂さんめんはっぴの像容が多く、複数の顔と腕で、あらゆる方向の苦悩を救う広大な慈悲を象徴する。また、右手に斧、左手に羂索けんじゃくを持つなど、忿怒相に応じた持物を手にしていることが多い。


梵名

ハヤグリーヴァ
हयग्रीव[hayagrīva]

真言(小咒)

オン アミリト ドハンバ ウンハッタ ソワカ

像容

  • 三面 八臂
  • 阿弥陀如来の化仏<br> 馬の頭
  • 三眼
  • 正面:憤怒相<br> 右:大笑相<br> 左:白牙上出相
  • 右手: 根本馬口印<br> 剣・斧・棒・蓮華のつぼみなどを持つ
  • 左手: 根本馬口印<br> 剣・斧・棒・蓮華のつぼみなどを持つ
  • 立姿または結跏趺坐

本尊とする主な寺院


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